こんにちは、基板復旧サービス担当の佐藤です。
今回ご紹介するのは一瞬リンゴマークがでてすぐ電源が落ちてしまうiPhone8です。
早速本体の状態から確認して行きます。
スリープボタンの長押しでは全く起動しないようです。
USB電源に繋いだライトニングケーブルを挿すと、
冒頭のリンゴが点いてすぐ消えるというご指摘の症状が再現されました。
症状が確認出来た所で、早速基板を調べて行くことにします。
最初に通常の起動方法を試した時、何にも反応が無かった事から、まずは電源周りの回路を確認します。
iPhoneで使用されているバッテリーの電圧は約3.8V(ボルト)ですが、
電圧確認したバッテリーは3V(ボルト)有るか、無いかくらいでした。
バッテリーの具合から最初にバッテリーコネクターの各端子の抵抗値を当たって行きます。
案の定、バッテリーコネクターのメイン電源のピンが1本ショートしておりました。
通常約700Ω(オーム)有るところが0Ω(オーム)ですので検証範囲はかなり絞り込めました。
念の為、CPUに近いもう一つの電源ラインにおいては、ショートは有りませんでしたので、
より狭い範囲で一つ一つ部品を調査していきます。
範囲が狭くても結構な量の部品が、同じライン上に繋がっているため案外作業としては時間がかかります。
ショートしている回路での事例で多いのが部品の変色です。簡単にいえば焼け焦げによるものです。
そういったパーツが無いか最初は目視で角度を変えながら一つ一つ見ていきます。
すると、基板裏側にマウントされているパーツの一つが焼けによって変色しているのが確認されました。
そのパーツを取り除き、ショートしていました回路のラインを再度テスターで測定します。
抵抗値も正常値になった事を確認できましたので、外したチップと同じ容量の別のチップと交換です。
余談ですが、外したチップの小ささはこのような感じになります。
仮組状態から外部電源を繋ぎ、リーク電流(漏電)が無いか確認します。
幸いこのiPhoneではリーク電流は有りませんでしたので、通常操作による起動チェックを行います。
外部電源の電流計を監視しながらの起動試験です。
無事起動し、パスコードの入力画面になり、パスコードを入力してみます。
タッチ操作も不具合なく、無事待ち受け画面まで進む事ができました。
一通り組み上げ、念のためPCとの接続も確認しておきます。
合わせてバッテリーの充電状態が宜しくなかった為、バッテリーのテストも含め充電テストを行いました。
順調に充電も出来た所で、規定の動作確認を行い、
動作上の不具合(極端な発熱や起動不具合など)がないか確認します。
今回不具合を起こしていた個所がバッテリーからメインCPUに向かう電源回路上のパーツのショート
だった事により、回路全体がシャットダウンした状態でした。
無事リンゴループから抜け出せた事により、保存してあった写真やLINEなどのデータも失うことなく端末が復旧致しました。
修理者からしますと、日頃から定期的にバックアップは取られる事を強くお勧めします。
時々端末の方からもバックアップを取って・・・と促してくれますので、
そのタイミングで思い出していただき、バックアップを行ってもいいのではいのでしょうか。