こんにちは、基板復旧サービス担当の佐藤です。
今回ご紹介するのは水没により起動が出来なくなったiphone7です。
既に水分は蒸発しておりましたが、内部の所々で腐食が始まっています。
基板を本体から取り出して、さらに基板の状態を確認していきます。
特にシールド(保護)板内で腐食が進行し、起動に影響を及ぼす事がありますのでシールドされている所もしっかり見ていきます。
iPhoneのコネクタ周辺部にはスポンジが貼ってあり、そのスポンジを取り除くとスグ下には基板のチップが見えてきます。
今回は腐食が広範囲にわたって広がっていましたので、順番に腐食箇所を洗浄、導通を確認して行きます。
この時点で電極が壊れているチップが有れば、交換していきます。
洗浄とチップの交換が一通り終わった所で、再度導通確認した所、VDD_MAIN の回路が短絡していました。
どうやら一番状態が酷い所で、パーツの短絡が起きているようです。
まずは腐食の酷かった所からさらに不具合個所を絞り込んで行きます。
細かく調査した結果、映像の出力に関するICチップのショートが起動不良の原因でした。
ショートしていたICチップの周辺も念のためチェックしてみると、ごくわずかですが影響していましたので、周辺のICも併せて交換していきます。
ICの交換が終わり、再度導通を確認して行きます。
短絡が無い事を確認したのち仮組状態での通電の確認です。
無事起動出来ましたので、いよいよ本体への組み込みして行きます。
組み込み後、バッテリーの電圧を見た所、動作限界電圧を下回っておりましたので、
別途バッテリーを充電、ある程度溜まった所で基板に接続、組み込みも済ませてから起動させてみます。
バッテリーでも起動を確認、充電状態が宜しくないため、充電テストも含めしばらく充電しておきます。
しばらくして、充電もしっかり出来ている事を確認出来ました。
組み込んだ後、タッチの状態など動作確認して置きます。今回パスコードはナシでのお預かりでしたので、パスコードが入力できる所までの確認をして作業終了となりました。
パネルの状態も水没の影響を受けており、所々にシミが有りました。
今回のケースでは細かいパーツの腐食、酷く腐食が進んだ所でのICの電極破壊による短絡が起きており、
腐食した周辺も、多少なりと水滴が掛かっていましたので、顕微鏡で見ても、非常に判りずらい内容でした。
iPhoneはまだまだ完全防水にはなっていないので、皆さんもぜひ水濡れにはお気をつけください。