こんにちは、FIREBIRDの佐々木です。
本日は、部品交換での修理を実施されている他店舗さんにFIREBIRDを紹介頂いたとのことでご依頼頂いたiPhone8の修理をご紹介致します。
起動しなくなった本体を修理店舗に持ち込んだところ、基板が原因でこちらでは対応できないと診断されたとのことでご依頼頂きました。
到着したiPhoneはまずフロントパネルを開けさせて頂いて初期診断を行います。
1.内部に水が入っていないか
実は意外と多い事例です。水濡れの申告が無い状態で本体に電気を通しても、電気は正しく通らず、部品の損傷を広げてしまうことになります。
今回のご依頼品には水分は確認できませんでした。
2.水濡れ跡や腐食がないか
次も「水」関連となりますが、過去の水濡れが後々になって動作不良の原因になる事は多いです。
徐々に腐食が進み、チップを錆びでのみ込んでいってしまっていることがあります。
基板全体に腐食が進んでしまっていると、調査時間、修理時間ともにお時間を長く頂く場合があります。
今回のご依頼品には過去に水没した跡も確認できませんでした。
3.物理的な損傷が各パーツにないか
こちらは打痕や、ケーブルの亀裂の確認です。また、コネクタの挿入口のピンやその周辺のチップに見た目上の問題が無いかを目視で確認します。
今回のご依頼品はフロントパネルに損傷が見られましたがすぐに新しいフロントパネルの交換を試すのではなく次の項目の確認へ進みましょう。
4.漏電していないか
測定する専用の機器に基板を繋げて、電気が漏れていないかを確認します。
電気が漏れていないかを確認する為に電気を流すということです。
もちろん、漏電している状態で電気を長時間流すと破損場所が重症化したり他の場所に負荷がかかって破損個所が増えたりしてしまうことも。
それを防ぐために数値で漏電状態を確認しながら電気を流して可能な限り短時間で調査します。
今回のご依頼品は3.7Aの漏電という結果となりました。
到着時点では漏電の影響か取り付けられていたバッテリーは0%になってはいたものの、バッテリーの充電が残っていた際にはリンゴループが発生していたとのことですので繰り返し損傷した状態の基板に電気が通った可能性は高いです。
漏電が確認できた際のサーモグラフィによる撮影です。
バッテリーのコネクタ付近が熱くなっているのですが、この部分は元々電気を通した際に熱くなる場所です。
サーモグラフィで熱くなっていた箇所の裏側がこの画像周辺部分ですね。
見た目も問題なさそうに見えますが、この中の1カ所がわずかに変色しており漏電の原因となっておりました。
明らかに変色していたり、欠けていたり、焼けた跡などがあればすぐに特定できますが、変色がわずかで見た目が他と変わらない場合は知識と経験、そして技術が必要となってきます。
漏電が解消してからは壊れているフロントパネルではなく新しいフロントパネルを仮で取り付け、起動状態を確認。
映りとタッチに問題が見つからなければ充電が溜まるか、その他確認可能な部分を調査してフロントパネルの追加料金についてお客様に了承を頂いたら修理完了となります。
起動しなくなったiPhoneが漏電している場合、充電しようとすればするほど、起動しようとすればするほど損傷が広がってしまいます。
基板原因の起動不良は早めにFIREBIRDにご依頼ください。