こんにちは、基板復旧サービス担当の佐藤です。
2020年になり早1週間経ちました。今年もよろしくお願いいたします。
今回ご紹介するこちらのiPhone8は「画面がひび割れた状態、フロントパネルの交換を試したものの、画面が表示されない」という他店舗の部品交換では改善しなかった本体のご依頼です。
まずは本体の状態が申告通りなのか確認を行います。
スリープボタンを押下しても、無反応です。
既に他の店舗で試してはある事ですが、念のため問題のないフロントパネルを取り付けて起動するか、バッテリーを他のものにしたら起動しないか、
起動に関連する部品の仮付けを行いますが、症状は変わらず。
基板の問題であると切り分けが出来たところで基板の確認です。
まずは目視で基板自体にダメージ等が無いか確認していきます。
特に注視すべき箇所が映り、タッチ等、フロントパネルに関連するケーブルの接続先であるコネクタの周囲です。
このiPhone8もそうですが、iPhone各機種のコネクタの周囲には、防塵、耐水、耐衝撃の為であると推測できるクッション材が貼られています。
クッション材の下に配置されているチップ部品はクッション材越しではどういった状態になっているか判別する事が出来ません。
基板を調べる際にはこのクッション材を剥がして状態を判断する事になります。
クッションをゆっくり少しずつめくって行くと、
めくったクッションの下で1個のチップ部品が外れかかっている状態であることが確認できました。
外れかかっていたチップ回路をテスターで導通チェックしたところ、やはり異常な値である事が確認出来ました。
外れかかっていたということは周囲のチップにも同様の衝撃があった可能性が高い為、
周囲のチップも値を確認しますが異常なし。
外れかかっていた部品のみ交換を試すこととしました。
交換後、フロントパネルと基板を仮で組み上げて電源を入れてみますと、無事起動、表示、タッチが確認出来ました。
本体に戻し、フロントパネルと本体を閉じてしまう前に再度の動作確認を行い、他に問題が発生していないか確認を行います。
問題ありませんでしたのでフロントパネルと本体を閉じ、再びの動作確認です。
ここまで確認して修理完了となります。
通常、基板に乗せられた1つ1つのチップはクッション材やシールド板、硬化ジェル等に保護されていて
ダメージが発生してもすぐに確認する事が出来ません。
また、目視ではほぼ分からない場合が多く、顕微鏡が無ければ原因の特定すら出来ない精密な作業となります。