こんにちは、基板復旧サービス担当の佐々木です。
本日ご紹介するのは数度ご自身でバッテリー交換をされている方からのご依頼です。
ネットで部品を購入してお持ちのiPhoneSEを数回ご自身で交換しているとの事ですが、
今回は起動したもののバッテリーの充電表示が1%のまま増えなくなってしまい、
充電ケーブルを繋げたままにしていても5分程度で電源が落ちてしまい、再起動がかかってしまう症状が発生したそうです。
数回バッテリー交換に成功している実績から、今回データのバックアップを取得しないまま作業を進めてしまったとのことでデータを引き継げる状態になるまでの修理をご希望されました。
お預かりした本体は、まずは部品交換で改善しないか確認させて頂きます。
ご申告の症状は、ほぼ基板が原因となるものですが、部品が原因である可能性は先に潰しておきます。
新しいバッテリーを仮で取り付けるものの、症状は変わらず。やはり基板側の問題です。
iPhoneSEの基板を取り外した状態がこちら。
バッテリー交換がきっかけとなっていますので、まず確認すべき箇所はバッテリーのコネクタ周辺です。
差し込み口周辺に小さな銀色の粒が沢山並んでいるのがご覧頂けますでしょうか。
この中の1粒が欠けるだけで、起動しなくなったり、一部の機能が使えなくなったり等、様々な症状が発生します。
肉眼ではよく見えませんが、顕微鏡で確認したところ、1つのチップが取れていました。
もう一点、気になったのがこちらです。
ほんの少しですがコネクタが斜めに浮き上がっているように見えます。
元からなのか、自己修理によるものなのかは不明ですが、チップが取れていたことからも、強い力でバッテリーのコネクタを取り外したことが原因であるのではないかと推測できます。
取れていた部分にチップを取り付けて、コネクタの口部分も取り付けなおしておきます。
綺麗に洗浄して起動を試しましょう。
無事起動し、バッテリーも問題なく溜まる事を確認しました。
突然シャットダウンしてしまう症状も、起動して数十分見守り確認しましたが解消しています。
その他、動作に問題が無いかの確認を行い、問題無しである事を確認してから修理完了のご連絡とお渡しの準備をさせて頂きます。
これにて無事データが取得できることでしょう。
動画サイトやWEBサイトを見て修理を試す方が増えていらっしゃいましたが、力加減や力の向き等の精密機器の修理に携わる際に必要な知識、技術が伴わないと故障リスクは高まります。
また、通販サイト等で手に入る工具は、1度きりの交換であればなんとか対応出来る場合もあるのですが、精度が不足しているドライバーであったり、引っかかりがあったりテコの原理で無理に剥がし起こすような構造になっているヘラであったり等、複数回にわたる修理は難しいというのが現状です。
信頼できる修理業者に頼むというのが一番良いかとは思われますが、
ご自身で修理を試される場合には必ずバックアップをされてから挑戦されてくださいね。