こんにちは、FIREBIRDの佐々木です。
本日は、本体を湾曲させてしまった結果起動しなくなった本体の修理をご紹介致します。
本体が曲がってしまうというのは実は修理業界では比較的珍しくはありません。
iPhone6や6P等の頃はフレームが今と比べて柔らかい為、普段お尻側のポケットに入れて使用していたところ気づいたら曲がっていたということが多くありました。
iPhone6s、iPhone7とよりフレームが固くなり、iPhone8以降のように背面がガラスになってきてからは、自然に曲がったという事例は少なくなった代わりに、車のドアに挟んだ、リクライニングシートで挟まれた等の、機械的な力が加わって曲がったというケースが出てきました。
今回のケースでは、保護カバーを取り外そうとして頑張ったところ曲がってしまったとのことです。
なかなか外れないカバーは確かにあります。それでも素手でiPhone7を曲げるとは、体重をかけて剥がそうとしたものと思われます。
カバーからは取り外せたものの起動しなくなってしまったとのことでご依頼頂きました。
画面を正面とした時に左側にあたる音量ボタンの下側の部分でちょうどなだらかにカーブしているようです。
音量ボタンが配置されている為にフレームの強度がそこだけ下がっている為、iPhoneが曲がる際には大体ここが曲がる場所です。
反対側の電源ボタンとSIMカードスロット側、こちらは真っすぐな様子。
iPhone7は左側にはバッテリーが、右側には基板が入っていますので今回曲がってしまったのはバッテリー側です。
基板自体は曲がっていなそうというのが開ける前の予想でした。
さて、実際に基板を取り出して確認しますと目視でわかるほどの歪みは基板にはありませんでした。しかし、基板裏側の保護シールにはコンデンサの跡がくっきり浮き出ており基板自体が一時的に歪んだものと考えられます。
まずはサーモで漏電チェックをしたところ、ちょうどコンデンサの跡が激しくでていた基板中央部分から漏電していました。
シールを剥がしたところ目視でも違和感を覚えるくらい変色しているコンデンサを発見。
どういった役割の回路の一部なのかを調べながら修復を施します。
今回は、曲がったことによる物理的基板損傷ではなく、曲げられたことにより想定しない電流が一時的に基板上を流れショートした不具合でした。
物理的に基板が損傷していた場合には、メモリやCPU等データを取得する為の最低限の部品を正常な基板に移植することでデータだけでも取得できないか試す段階に進むことになります。
無理に曲げられた本体は、フロントパネル自体も壊れていることが多いのですが、今回はお客様本体のフロントパネルが問題無く使用可能な状態でした。
基板修理のみで無事起動となりました。