こんにちは、基板復旧サービス担当の佐藤です。
今回はiPhoneXSの起動しなくなった端末の復旧をご紹介いたします。
こちらの本体、街の修理屋さんでパーツ交換を試しても起動しないとの事でお預かりしました。
一旦分解する前に症状を確かめてみます。
確かに内臓のバッテリーで起動しませんでしたので、次に外部電源に繋ぎ変えて起動時の電流値を測定します。
通常、外部電源につないだだけでスリープボタンをまだ押さない状態ですと、
電流値の表示は「0.00」の表示ですが、
基板側に何らかの不具合が有る場合、以下のように電流値が表示されます。
今回こちらの基板で計測したのが「0.81A」
つまり810mAの表示となりましたので基板側の回路故障で間違いありません。
早速、本体から基板を取り出します。
順番にひとつずつ調べて行きます。
先ずバッテリーコネクター側から。
見るポイントとしてバッテリーの+電極と充電に関する電極が2か所。
計3か所の対アース間を調べて行きます。
この時点で数値は異常なしの状態でした。
次にiPhoneXSは2層基板ですので、上下に基板を分割します。
分割した基板のそれぞれ電源回路を対アース間で調べて行きます。
下側の基板においては対アース間では異常なし。
次に上側の基板も同様に見ていきます。
すると、上側基板の電源回路の一部にショートがあり、
それにより起動しないことが判明しましたのでショート部品の特定をして行きます。
iPhoneでいう電源回路は人で言う大動脈的な電気の流れの部分で、
今回この部分がショートしたために起動が出来なくなったようです。
先ほどの不具合個所は電源回路の中でも【充電に関する】ICチップの不具合でした。
ICを交換して再度対アース間で確認のため調べて行きます。
表側にも不具合箇所が見つかりましたので、修理をしましたが、
表側は後でパーツを取付る際に触る可能性がありますので、
きちんと補修も行います。
再度、外部電源のメイン電源を落として、バッテリーコネクターに接続します。
ここでスリープボタンを押すまでは電流は殆ど流れないはずで、確かに「0.00」となっています。
パネルを繋ぎ、スリープボタンを押すと、、
無事起動を確認しましたので、最後に上下の基板を繋げて、タッチまで効くかどうかを見ていきます。
パスコードが掛かっていますので、ホーム画面には入れませんが、
タッチ操作、電源のON、OFFといった基本操作と、
ライトニングケーブルを繋いだ時の充電およびPC反応があるかどうかは見れます。
バッテリーが放電しきっていましたので、予備充電を行いました。
殆ど「空」の状態ですので、充電電流もほぼマックスに近い状態でした。
充電も順調に進み、元の部品だけでの起動を確認します。
問題なく動作する事を確認して作業終了。
他店修理不可と言われた場合も諦めずに、ぜひ当店にご相談ください。