こんにちは。FIREBIRD修理センターの佐藤です。
今回は落として画面が割れただけで、起動しなくなったiPhone6sの復旧をご紹介します。
こちらの本体、街の修理店に持ち込んでパネル交換を試したものの、起動には至らず、
データだけでも復旧できたらと当店にご依頼をいただきました。
当店では、基板そのものを診ますので、本体から基板を取り出してから安定化電源に接続します。
すると安定化電源のスイッチを入れたとたんに約9Aの電流が流れました。
iPhoneの場合、通常でしたら多く流れても2Aまでですので、明らかに異常です。
さらに調査を進めて行きます。
このiPhone6sは1枚基板ですが、表裏で2ブロックづつ、計4ブロックに分かれています。
各ブロックごとに、通信系、充電系、表示系、中央処理装置に分類する事ができ、
漏電が起こった場所をまずは特定する必要があります。
今回の大電流漏電の原因となったのがメイン電源回路の不具合でしたが、
メイン電源回路においては、上記の4ブロック全てに跨っている事が多いため、
故障箇所の範囲を絞り込んで行く作業が伴います。
通常ですと、大電流の漏電箇所は慣れてくると目視でも判断ができてくるようになりますが、
今回の故障箇所はパッと見、正常の部品に見えます。
当ブログでは、修理前後の基板写真をメインに掲載しておりますが、今回は数世代前の機種という事もありますので、
その原因チップの写真を開示したいと思います。
故障しているチップがこちらになります。
そして、正常なチップと入れ替えた後の写真がこちらになります。
今回の故障原因となったチップコンデンサーは基板上に数百種類あり、その他チップ部品も含めると千種類を超えてきます。
比較的壊れる確率の高い部品は確かにありますが、どのような使い方をしたら、どこが壊れるという事は修理スタッフでも断定は出来かねます。
交換後にメイン電源ラインの数値を測定します。
問題がないことを確認した上で、テスト用のパネルを仮付けし、動作の確認をします。
テストパネルで特に不具合が有りませんでしたので元のパネルに付け換えて充電動作も含めたトータル的な確認をしていきます。
電源に安定化電源を使用し、リーク電流と起動時の電流値を見て行きます。
リーク電流は解消され、起動時の電流値の変化も正常値の範囲内で、リンゴの表示が出ました。
パスコード入力画面まで進み、タッチ操作もできています。
こちらのパネルに関しては僅かな画面割れはありましたがタッチ操作、表示状態とも正常、充電動作も難なく出来ていました。
お客様は、端末はすぐに買い替えられるとの事で、データの復旧、バックアップだけ出来れば十分との事でしたので、
今回はパスコードをお伺いせず、これ以上の動作確認はしない状態でのお返しとなりました。
当店では、プライバシーの都合で動作確認をご希望されない場合は、パスコード画面のままご返送させていただく事も承っております。
※ただし、動作が不安定等の場合は、再度ご郵送いただく際の往復送料はお客様ご負担とさせて頂いております※
重度の故障により他店で修理不可と判断された場合
iPhoneデータ復旧をご希望の場合はFIREBIRD修理センターまでお問い合わせください