こんにちは、FIREBIRD修理センターの佐藤です。
今回はiPhone7Plusの起動しなくなった端末の復旧をご紹介いたします。
こちらのiPhone、当日のお昼頃までは普通に使えていたものの、
夕方に見た時には画面は真っ暗でボタンの反応も無く、
ライトニングコネクタに挿しても全く反応しなかったそうです。
2年ほど前にAppleさんにてバッテリー交換プログラムを実施されていて、
今回もバッテリーを交換してもらったが、起動しないという事で当店に修理のご依頼をいただきました。
早速、基板の状態確認です。
バッテリーのコネクターをまずは外します。
基板側端子を個々に調べて行き、対アース間で短絡が無いかチェックします。
次に安定化電源を接続して起動するかを見ます。
今回のiPhoneは、接続した直後に10A(アンペア)近い電流が流れていました。
ここまでの調査でおおよそどこのラインが原因か、ある程度は推測が付きますが
該当箇所が広範囲に及んでいる為、ピンポイントで絞り込むのにそれなりに工夫が必要となります。
基板上部(表面)はシールド板と呼ばれる金属性のカバーが半田でしっかりと固定されて(覆われて)おり、
シールド板を外すのにヒートガン使用が必須なため、基板への熱ダメージが避けられません。
よってまずはダメージを最小限にする為にも、カバーは後回しとしてまずは基板裏面から見ていきます。
裏面には充電や通信系に関する電源ICが多く密集しており、順に目視でチェックしていきます。
先ほどの電流測定値が大きければ大きいほど、原因となっている部品にも比例したダメージが加わっていますので、
熟練度の高いスタッフは目視にて見分けがついてきます。
裏面のチップの状態は至って普通でしたので、表面のシールド板の付いている方を見ていきます。
先ほどは、基板へのダメージの話をしましたが、素早く取り外すくらいであれば、特に問題はありません。
夏の時期の作業はエアコンを効かせた部屋でも暑いと感じますが、今の時期に300℃~400℃のエアーは
却って暖かくなるため、立て続けにヒートガンを使う日はスタッフもどんどんと薄着になっていきます。
シールド板を外した直後は高温になっている為、ある程度冷ましてからチェック作業に取り掛かります。
すると一か所ショートしているチップコンデンサーがありました。
処置にて、該当箇所を修復し、再度導通確認をしますと正常値に戻っていました。
外したチップをピンセットで少し力を入れて握ると、砕けるようにバラバラになってしまいました。
小さな小さなiPhone部品に、家庭用エアコンに流れるほどの大電流が流れますと、部品にとってはひとたまりもありません。
不具合を起していた個所が判明しましたので、外した箇所に交換するチップコンデンサーを取り付けていきます。
全てのチェックを終え、外したシールド板を半田ごてで元通りに取り付けて行きます。
写真黄色矢印の先には、1本の切れ目が見られますが、これは手術跡のようなものです。
はみ出した余剰のフラックスや汚れを一旦清掃したのち、基板とパネル仮付けの状態にて起動を確認します。
動作確認に問題が無い事で、無事端末の起動不良は復旧することが出来ました。
今回は主電源ライン単独の不具合でしたので、iPhone内のデータも無事に復旧できました。
他店で修理不可と診断されたらFIREBIRD修理センターまでご相談ください