こんにちは、基板復旧サービス担当の佐藤です。
今回はiPhone7のリンゴループ端末の復旧をご紹介いたします。
こちらの本体、リンゴの表示のまま先に進まないとの事でお預かりました。
確認しますと、確かに短い間隔(5~10秒)のループではなく、
長い間隔(1~2分)でのループ現象が起こっておりました。
外部電源を使用してスイッチを入れてみますと、本来上がらなければならない電流値まで行かず、おおよそ200mAほどで止まっていました。
まずは基板を本体から取り出し、細部まで念入りに目視点検をしましたが、
異常が見つから無かった為、起動時における各ラインの電圧値の確認をしていきます。
電圧を調べて行くと1か所だけ数値が出ていないラインが有りました。
早速、そのラインに繋がっている各チップ部品を調べたものの、特に異常は見受けられませんでした。そうなりますと、残るは電圧が出ていなかったラインの大元である制御ICの不具合と仮定し、ICチップ自体を交換してみますと、電流値のうえでは起動するようになりました。
ここで一旦仮組みをし、今度はタッチ等の動作確認をします。
タッチ操作に問題はありませんでしたが、バッテリーの残量が10%程でしたので
充電確認も含めしばらく画面を点けたまま充電テストを行います。
30分程して確認すると、充電が全く増えておらず、かえって6%まで減っておりました。バッテリーの不具合の可能性も在りましたので、念のためテスト用のバッテリーにつなぎ、再度充電の確認を繰り返します。
この時も充電は増えないままでしたので、基板側にまだ何らかの不具合が起きているものと診断。
充電コネクタに流れる電流値を測定してみますと、おおよそ500mA程で頭打ちでした。
正常でしたらもっと高い位から流れ始め、充電がたまるにつれ電流値は下がっていく動きをしますので異常ではあります。
再度基板を本体から取り外し、追加の症状の検証に当たります。
今度は充電系統のラインに絞り込み、ライトニングコネクターから基板側、そして充電を制御するICチップまで、回路を追いながら、チップ部品に不具合が無いか、テスターで調査をしていきます。
ライトニングコネクタに近い側では異常が無かった為、CPUに近い側を見ていきます。
そうしますと、充電回路に一部使用しているコイル部品の断線が確認できました。
早速、コイルモジュールの交換を行い、基板を本体に戻し、仮組み状態での充電テストをします。
先ほどとは違い、短時間でもバッテリーの残量が増えましたので、しばらく画面表示を消して、充電テストを続行します。
1時間ほどしますと、73%まで増えていましたので、そのまま100%まで充電させていただきました。充電も正常に戻り一安心です。
基板故障の不具合に多いのが、今回のような合併症です。
過電流が原因と思われるショートや断線が多岐にわたって散見されるため、
地道に一つ一つの回路とその回路上のチップ部品をチェックし修復することで、
一つ一つの不具合が解消され、端末が復旧していきます。
また1台、お客様の端末が直りスタッフも一安心です。