iPhone12Pro(A2406)特に思い当たることがないが電源が入らなくなった本体のデータ復旧

ある日突然、何の前触れもなく動かなくなってしまったiPhone

日常生活に欠かせないスマートフォンが、突然動かなくなってしまったら、不安になる方も多いのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、落下や水没など特に思い当たる原因がないにもかかわらず、
突然電源が入らなくなってしまったiPhone 12 Proのデータ復旧ご依頼です。

大切な写真や連絡先、アプリデータなどが入った端末でも、バックアップがない状態で起動しなくなってしまうと、
キャリアショップや一般的な修理店では「本体交換(データは初期化)」と案内されてしまうケースがほとんどです。
しかし、諦める前にぜひ一度FIREBIRDへご相談ください。
高度な専門知識と設備を用いて、大切なデータを取り出せる可能性があるかを調査いたします。

調査・診断

端末をお預かりした後、まずは分解を行います。
その後、状態を確認するため、直流安定化電源(DCパワーサプライ)へ接続し、電流値の測定を行います。

正常なiPhoneであれば、待機状態で異常な電流反応は発生しません。
しかし、今回の端末は電圧を印加した瞬間に高い電流値が流れる、「ショート反応」を示しました。

これは、基板上のメイン電源ラインのいずれかの回路で異常が発生している状態を意味します。
このようなショート状態では、充電ケーブルを接続しても正常起動に必要な電圧が立ち上がらず、バッテリーなどのパーツを交換しても改善しません。
その結果、画面には何も表示されない「ブラックアウト状態」となっていました。

このような状態では、iPhone内部のシステム自体が正常に起動できないため、データへアクセスすることもできません。
iPhoneのデータ復旧では、「壊れた状態のままデータだけを直接取り出す」ということはできず、まずはデータへアクセスできる状態まで端末を修復する必要があります。
そのため、「修理はしなくていいのでデータだけ取り出してほしい」というご要望であっても、実際には修復作業が必要となるケースがほとんどです。

ただ、こうした内容は普段あまり触れることのない専門的な分野でもあるため、仕組みが分からないままご依頼いただくケースも少なくありません。
FIREBIRDでは、作業内容や現在の状況についてできる限り分かりやすくご説明できるよう心がけておりますので、
ご不明点などございましたら、ご依頼後お気軽にご相談ください。

実際の作業

近年のiPhone(iPhone X以降)は、限られた本体スペースへ多くの機能を搭載するため、
2枚の基板を重ね合わせた「積層(サンドイッチ)構造」が採用されています。

今回のiPhone 12 Proも同様の積層構造となっており、ショート箇所が基板内部に存在する場合、そのままでは直接確認や詳細な検査を行うことができません。

そのため、まずは専用ヒーターを使用し、適切な温度管理のもとで上層基板と下層基板を慎重に熱分離する作業から開始します。

わずかな温度設定や力加減の違いによって周囲のICチップを破損させてしまうリスクもあるため、非常に高度な技術が求められる工程です。

無事に基板分離を行った後は、異常箇所を特定するため「サーモグラフィ」を用いた診断などを行います。
基板へ瞬間的に電圧を印加すると、ショートによって発熱している部品のみが、サーモグラフィ上で高温反応として表示されます。
これにより、無数に配置された極小の電子部品の中から、故障原因となっているコンデンサをピンポイントで特定することができます。

今回、故障原因となっていたコンデンサは上基板側に存在していました。

熱ストレスを最小限に抑えながら作業を行い、故障原因となっていたコンデンサを精密に除去します。
除去後、正常な導通状態へ回復していることを確認できました。

(待機状態で異常な電流反応がありません。)

分離していた上下基板を再結合するため、接合部のはんだを再形成したうえで、再接合作業を実施しました。

結果

基板の再結合完了後、基板全体の導通状態に問題がないことを確認し、
検証用環境へ組み込んだ結果、データ取得作業を実施可能な状態まで回復していることを確認いたしました。
しかし今回は、修復作業によってバックアップ取得自体は可能となったものの、端末へ組み戻した際の動作は非常に不安定な状態でした。
いつ再起動やシャットダウンが発生してもおかしくない状況であり、長時間の安定動作は困難と判断。
そのため今回は、基板のみを安定した検証環境下で起動させ、最優先でバックアップ取得作業を実施いたしました。

通常であれば、取得したバックアップデータをUSBメモリへ保存してご返却となりますが、
今回はお客様ご自身で新しいiPhoneへのデータ移行作業を行うことが難しい状況(PCがない・古いなど)でしたため、お客様のご希望に基づき、以下の流れで対応を実施。

・お客様側で、新しくご用意いただいた初期化済みiPhoneを当店へ発送
・当店にて、取得したバックアップデータを新しいiPhoneへ復元
・データ移行済みの状態でお客様へご返却

壊れてしまった端末そのものを復旧させることが難しい場合でも、このように「大切なデータのみを救出し、新しい端末へ引き継ぐ」といった対応が可能なケースもございます。

技術スタッフから

今回のように、落下や水没など特に思い当たる原因がないにもかかわらず、突然iPhoneが故障してしまうケースでは、基板上のコンデンサやICチップの経年劣化・突発故障が原因となっていることも少なくありません。
精密機器である以上、どれだけ大切に使用していても、このようなトラブルを完全に防ぐことは難しいものです。
一般的な修理店では、「基板故障のため修理不可」「本体交換対応のみ」と案内されてしまう状態でも、データを取り出せる可能性があります。
大切なデータを諦めてしまう前に、ぜひ一度FIREBIRDまでお気軽にご相談ください。

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