iPhoneXS(A2098)一晩の充電コネクタ接続しっぱなしで起動不良となった端末の復旧

こんにちは。FIREBIRD修理センターの佐藤です。

今回はiPhoneXSの起動しなくなった端末の復旧をご紹介いたします。

こちらの本体、前日まで普通に使用し就寝前に充電器に挿し、翌日使用しようと思ったら電源が切れて反応なしとなったそうです。
前日も使用中に本体が熱くなったり、アプリの挙動がおかしくなったりするような事は、特に無かったとの事でした。

早速、状態を確認していきます。
スリープボタンを押しても反応なし、充電ケーブルを繋いでも反応なしでしたので基板側に何らかの不具合が起きている可能性が有りますので、パネルを開けて内部を確認していきます。

バッテリーを外した状態で、テスターにて回路の抵抗値を調査していきます。
バッテリーのコネクターまでの数値異常は見当たらず、テストポイントを何か所か当たるとその一つが短絡状態でした。
電源周りで何か不具合が起こっているのは間違いなさそうです。

2枚合わせ構造の基板の内、どちらの基板側で不具合が起こっているかは、2枚に分割するとすぐにわかります。
今回は下層側のベースバンド基板(主に通信関係を処理する半導体が密集する)側の不具合と判明しました。

次に、目視でブロック毎に光学顕微鏡を使ってつぶさに見ていきます。
これは、下層基板の右上辺りとなります。

左上も見ます。

特に気になるところは見当たりません。
下層基板の左下に目を移します。

灰色をした歯磨き粉のような熱伝導グリスの下にあるチップコンデンサーに不具合がある事もありますので、取り除いてみます。

基板の中央付近も確認していきますが、漏電の大きさに対して特に変わったところは見当たりません。

すると、初めの位置に戻ったところ1個だけ変色したチップコンデンサーを見つけました。

コンデンサー両端の電極の導通を見ると導通しており、その変色したチップコンデンサーが災いしてリーク電流を起こし、起動しなくなっていた事が見てとれました。

変色したチップコンデンサーを取り除き、交換用のチップを取り付けます。

再度上下の基板に短絡が無いか確認してから、治具を使い仮組状態での起動と先ほどのリーク電流が無いかを確認します。
無事リーク電流が解消されてましたので、スリープボタンを押しての通常起動によるテストです。

起動直後から順調に電流値が上がって行きながらバックライト点灯、しばらくするとリンゴマークが現れ、パスコード入力画面まで辿り付きました。

起動しましたら、ランニングテストも兼ねてしばらく充電をしつつ、修理レポートの作成をします。
大電流漏電による端末の故障では、まれに充電が上手くたまらない事も有りますので、しっかりとチャージ確認をします。

今回は特に問題は無さそうでしたので、お客様ご返送の手配をさせていただきました。

突然のiPhoneのシャットダウンにより、うんともすんとも言わなくなるような起動不良に遭った場合は、iPhone電源復旧により端末が起動する事がございます。同様の症状でお困りの際はFIREBIRD修理センターまでお問い合わせください。

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