こんにちは。FIREBIRD修理センターの笹山です。
本日、ご紹介する修理は一昨年発売された比較的新しい機種になりますiPhone11の基板復旧となります。
お客様のご申告では、「朝起きた時、アラームが鳴らず画面が真っ黒な状態で、充電しても反応しなかった」との
事でした。近くの修理店へ持込んで診てもらったところ、バッテリーの交換を試しても通電が無かったため、
基板故障との診断になり、改めて当店にご依頼をいただきました。
冒頭の写真はiPhone11の端末から基板を取り出した写真になります。
一通りの初期診断のあと、取り出した基板をサーモセンサーにかけてみます。
まずは表面側。
直流電源に繋いで、電流を流し始めた際の写真がこちらとなります。
写真で色が白に近い部分ほど温度が高くなっており、大きな電流が流れている事がわかります。
コネクタの上部分が白くなっているほか、オレンジがかったところも2箇所ほどあります。
次に裏面側を。
こちらは、左側が全体的に黄色味を帯びています。
そこまで発熱は無いものの温かくはなっている程度です。
基板表面をヒートガンを使用し300℃以上に加熱すると、
半田で接着されたカバーを外す事ができます。
カバーを外した後のiPhone11の基板写真がこちらです。
iPhone11も2層式の基板になっていますが、今回のサーモを使った検査からは
まず表層に不具合が出ている事を確認しましたので、2枚に分割する前に直る可能性があると判断しました。
さらにアップにした写真がこちら。
iPhoneXやiPhoneXSの頃は、基板が上下でサイズが大きく異なり、
上側が小さく、下側が面積にして1.5倍ほどありました。
しかし、iPhone11では、上下でサイズが違っている点は同じですが、
下側基板がわずかに大きい程度の差になり、基板上に配置できるチップ部品が大きく増えました。
iPhone12以降で全機種に5G機能が搭載された事から、Appleでは一つ前の機種からスペースの確保のため
に基板のレイアウト配置を見直していた事が見てとれます。
さて、今回の不具合ですが、漏電は漏電でも4A(アンペア)以上の漏電がありました。
基板から各コネクタを外した単体で計測すると瞬間的には8A(アンペア)もの電流が流れていました。
8Aと言いますと日本の家庭用電圧から計算して800Wと同等になりますので、身近な電化製品ですと
家庭用洗濯機ほどになります。
洗濯機のモーターを回せるほどの電流が小さなiPhoneの中に流れたという事が驚きですが、ショートした回路では
このような事が起こっている事がおわかりいただければ幸いです。
幸い今回の端末では、画面自体は無事でしたので部品交換が必要とならずに済みました。
当店では、基板が直っても部品交換も必要となる場合、USBメモリにデータを移してのお返しも
承っております。
急なiPhone基板故障により、まだ保存されていなかったデータを取り出したいといった場合は
iPhone電源復旧の修理実績が豊富なFIREBIRD修理センターまでお問い合わせください。